福岡県飯塚市の日本在宅医学会専門医研修施設

在宅医療に携わる中で感じていることを教えてください

医療の本質は、病院でのcureだけではなく、日々の生活の中でのcareにあり、今後ますますIoTによる社会・情報インフラの整備が進むことで、医療の場が病院に限定されたものではなく、シームレスになり、「すべての人にプライベートホスピタル」ということが現実になるのは必然です。「在宅医療」から「在宅」がとれて、それこそが医療であると認識される時代もそう遠くない先にくるでしょう。ただ、どこの病院でも誰でもできることではありません。在宅医療には、医療に関わるあらゆる職種で構成される地域密着型チームと、全員の熱いハートと、そしてなにより強力なリーダーが必要で、そのすべてを持っている松口循環器科・内科医院の魅力は、まさにそこにあります。絵に描いた餅ではない、真実の在宅医療の現実を知ることでのみ得られる医療の素晴らしさは、在宅医療の現場にのみ存在します。　

在宅医療に携わる中で感じていることを教えてください

私は、初期研修医の時に、松口循環器科・内科医院で在宅医療を初めて知ってから、9年間この筑豊で診療を続けております。その中で、在宅医療は、患者さん一人ひとりの”くらし”を理解して行う医療だと感じています。お家ののれんをくぐる時、患者さんの身体だけでなく、それを取り巻く生活や世界観、人生観を自然に感じ取ることができます。それらの要素をもとに、検査や治療の提案を変えたり、声掛けにアレンジを加えて安心感・納得感を得て頂けるところにやりがいを感じております。また、身体面では、治療可能な疾患の特定と紹介連携のありかた、あらゆる不快な症状をどこまで取り除けるかというところに研鑽の力点をおいております。皆様が我々の訪問で心からご安心できるようにいたしますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

在宅医療に携わる中で感じていることを教えてください

訪問診療を受けられる患者さんはだんだん増えておりますが、訪問してみると、皆さん全然違う生活を送っておられることを感じます。家の構えや周囲の風景はもちろんですが、入ってみると綺麗に整頓されているお宅もあれば、雑多なお宅もあり、その方の”生活の場”にいることを実感します。そこに上がらせていただくことで、患者さんの状況や感情がよく見えるようになり、より患者さんに合った医療を提供できるのではないかと考えています。
　ただ裏腹に、限られた医療資源のなかで診療をしなければならないため、医師としての技量が試されます。問診と身体診察から身体の中に起こる異変を察知し、対応する能力が必要です。日々の診療のなかで常に振り返り、患者さんから学び、文献から学びながら、よりよい医療を行えるように鍛錬していきたいと考えています。

在宅医療に携わる中で感じていることを教えてください

医師4年目の7月に、初めて在宅での看取りを経験させていただいた。その患者様の訪問診療の導入には家族の葛藤もあり、介護負担も決して少ないものではなかったが、住み慣れた自宅で患者様が活気を取り戻し、看取りを終えた後も、ご家族がとても満足された表情を浮かべていたのが印象的であった。
　2025年問題を10年後に見据えて、地域全体で在宅医療・病診連携体制を構築していくことは、現在の若手−中堅医療者の使命であると感じている。在宅医療では、最後まで住み慣れた自宅で生活したいという患者様とご家族の思いを叶え、多職種の介入による医療・介護を充実させることが可能であると考える。私が専門とする循環器領域では、心不全の患者様の再入院を防ぐことが、定期外来通院よりも可能になるのではないかと言われている。しかし、在宅医療の制度やそれに必要な情報共有ネットワーク、診察のノウハウなど不足しているものも多く、まだまだ発展途上のものである。これから我々若手医療者はより積極的に取り組むことで、在宅医療の活性化・充実が望めるものと考えている。

在宅医療に携わる中で感じていることを教えてください

私は、総合内科の後期研修中に、松口循環器科・内科医院で在宅診療のお手伝いをさせてもらいました。在宅診療では、病院では見えないことが様々に見えてきます。高齢の入院患者さんが退院する時に、今まで病衣だったのが私服に変わると、「あ、こんなにしっかりした感じだったんだ」と、病棟勤務の時に思うことが時々ありました。それが家に出向くと、「あ、この人はこんな風に暮らしているんだ」と、更に違う気付きがあります。外来や病棟はその人のほんの一部でしかないことが、在宅医療を通して感じることができました。私のように病棟をメインに働く医師でも、在宅医療を経験することで、「この患者さんはどんな人なんだろう？どんな生活をしているんだろう？」と、考えながら診療にあたるようになり、より視野の広い退院支援が出来るようになりました。また、松口循環器科・内科医院のスタッフは、在宅に対して情熱を持って取り組まれており、その中からも色々な学びがありました。どうやって家の中で患者さんや家族と話をして、言いたいことを聞き出すのか、家の状況を見てケアマネと介護プランについて相談するなど、病院では学ぶことが出来ないことを数多く学びました。どんな所で働くとしても、患者さんが暮らしているのは家です。家での患者さんを知ることで、診療の幅が広がることは間違いないと思います。