診療案内
2019.08.23
『腹部エコーの時、尿をためておいてください!!』
当院では腹部エコーを予約するときに、
患者様に「エコーの前は尿をためておいてください」とお声かけをしています。
その訳は、尿を一時的にためて膀胱をしっかり診るためです。
膀胱は袋状の臓器です。
尿をためると図1.のようによく見えていた膀胱が
排尿してしまうと図2.のように膀胱がどこなのか分からなくなってしまいます。
<図1.尿のたまった膀胱の画像>
<図2.尿のたまってない膀胱の画像>
膀胱の病気のなかでも一番気になるのは膀胱癌です。
これは膀胱壁にできる上皮性悪性腫瘍のため、
尿をしっかりためて膀胱を十分に膨らますことで早期発見をすることができます。
【症例1】 71歳男性。高血圧、糖尿病で通院中。
定期の腹部エコーにて
膀胱壁に7ミリ大の乳頭状隆起性病変を認めました。<図3.>
精密検査(膀胱鏡検査)にて前壁部膀胱腫瘍と断定しました。
<図3. 症例1膀胱内腫瘍>
【症例2】75歳男性。糖尿病、高脂血症、冠動脈ステント術後にて通院中。
定期の腹部エコーにて
膀胱壁に1センチ大石灰化を伴う隆起性病変を認めました。<図4.>
精密検査(膀胱鏡検査)にて左側壁膀胱腫瘍を認めました。
<図4.症例2膀胱内腫瘍>
膀胱癌の初発症状でもっとも多いのは『血尿』とよく聞きます。
しかし、当院で見つかった膀胱癌の患者様は『血尿』などの
明らかな症状はありませんでした。
腹部エコー検査では自覚症状がでる前に膀胱癌が発見できます。
<膀胱癌>
また、早期発見することで、お腹を切ることなく
内視鏡で膀胱腫瘍を切除することができます。
体への負担は少なく、膀胱が温存できます。
ぜひ、尿をしっかりためて、腹部エコー検査を受けて頂きたいと思います。